小さなミュージシャンに出会った小さなタクシー運転手の夜。

家族がいるにも関わらず、職を転々としていた私がタクシードライバーの研修を終え初めての常務を迎えた日、ギターを担いだ青年を乗せたことがあります。
服装は地味過ぎず、派手すぎず、ギターを持っていなかったら普通の大学生のような青年でした。
セットした髪は崩れていて、その髪を整える気力も無いようでした。
丁度、中学生になる娘がギターをやっていたのでその青年に親近感が沸き起こりました。

時刻は深夜0時過ぎ、もう少しで1時を迎えようとしている時間で、「終電に乗り遅れたのかな」と思い、青年の言った目的地まで車を走らせていました。
目的地まで40分ほど時間があるので、「ライブ帰りですか。」と話しかけてみると、3秒ほど間をあけて青年は強く短く「はい。」と言ったきりまた黙り込んでしまいました。
車内に長い沈黙が流れ10分ほどたった頃、この気まずい沈黙が耐えられなかった私は「どんな音楽をやっているんですか。」と話しかけました。
青年は暗い表情で「売れない音楽ですよ。運転手さんはどんな運転をしているんですか。」と言いました。
暗い表情からは想像がつかない程、強くはっきりとした声だったことを覚えています。
私は面白いことを聞く人だなと思いながら、「あなたと同じで、売れない運転をしています。」と笑いながら答えました。
「それじゃあ、僕と同じ小さな卵ですね。」と青年は小さく笑い、続けて「小さな卵は長い間温められて孵化してから、やっと生きて行くことが始まるんですよね。人間は自分で卵を温めないといけないんですよね。」と赤ちゃんに子守歌を歌うように優しく呟いた後、眠ってしまいました。

夜の街が彼の言葉を少しずつ解きほぐし、一文字一文字私の心の中に沁み込んできました。
彼を目的地まで送っている途中、私の頭の中には彼の言葉で一杯になっていました。
あの小さなミュージシャンに心の中の隅々まで見透かされたような気分でした。
私はまだ卵で、生きることが始まっていないことを実感しました。
卵が孵化するチャンスがあったにも関わらず、すぐに諦めてしまう自分を戒める言葉でした。

小さなタクシー運転手の卵だった私は、今ではタクシー運転手になってから10年以上経ちますが、この日にあったことは今でも忘れずに私の心に残っています。
ミュージシャンを目指している娘がギターを担いで帰宅すると、その青年を思い出します。
娘が悩んでいるときは、その青年の言葉を借りて励ましています。

 

P.S.

先日、そんな私の娘も車の免許を取得し、楽しそうに新型フィットハイブリッドでドライブしてます。

我が家のファミリーカーはずっと旧型のフィット2のハイブリッドだったのですが、

今回の娘の免許取得を機に、フィット3のハイブリッドを新車で購入。

 

旧型のフィット2ハイブリッドの買取には、こちらのフィットの買取についてのアドバイスが書かれたサイトを参考にしました。

フィットの買取や下取りはこのサイトがわかりやすい!

希望通りの価格で買い取ってもらえたので、私も娘も万々歳でしたね^^

(※新型フィット3の購入では、私と娘でワリカンしました。)

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